A5版2色刷り約240頁・三共出版刊 ようやくできました。Win版インデザイン+オープンタイプ(ヒラギノ)です。原稿を受け取ってから1年有余。小社の経営規模からいうと苦しい展開なのですが,発行元の方でも読者層の見極めに苦慮したようです。
講談社ブルーバックの「量子論」(数式を使わないで説明),新潮文庫の「怖くない物理学」クラスですと理解のほどは別としてなんとか読めるのですが,この本は「数式・化学式」がしばしば出ますので理系の学生・大学卒業者でないと苦しいかな? とはいっても式の部分をパスしてもそれなりに読めるので「宇宙誕生」に興味がある人なら文系の人(私も文系)でも読んでほしいと思います。
2年半ほど前にNASAが発表して一般紙にも大きく取り上げられた137億年前の宇宙誕生・ビックバンですが,「そのまた1年前はどうなっているのか」とツッコミを入れた方は多いかと思われます。べつだん答えを気にしたわけでも無いのですが,驚いたことにこの本の著者も似たようなツッコミ(失礼)を入れています。
宇宙が膨張している有限界というのは現時点の真理のようですが,やがて縮小し,すなわちビックバンは何度も起きるという考えもあるようです。仏教の輪廻思想そのものです。そのあたりはこの本の著者(物理学者ではなく化学者)も教典を引いて書いておられます。アインシュタインもそうですが先に挙げた「怖くない物理学」の著者(電子工学)も東洋的な二元論をしばしば引用しています。現代物理・化学を代表する量子論がいってみれば二元論ですから,研究者の多くの人たちが宗教的色彩を帯びてくるのも自然なことかなと思います。
仏教思想の説くところが宇宙誕生の真理と考えるも楽しいものです。
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